【審査員インタビュー】佃典彦さん

―佃さんは「劇王の生みの親」と言われていますが、日本劇作家協会東海支部が「劇王」を始めた経緯を教えてください。

 

佃)集団を持っていない劇作家の発表の場として短編演劇のイベントを東海支部で始めました。3年目にもっと盛り上がる方法はないかと模索して劇王になりました。

 

―中国ブロック劇王は、2013年に第1回大会が開催され、今回で8回目です。佃さんも第1回から審査員長を務めていただき、これまでを振り返って、どんなことを感じていますか?

 

佃)出場された皆さんのレベルがドンドンと上がって行くのを実感しております。

 

―劇王は審査基準などを決めず、審査員と観客に判断を委ねる形ですが、佃さんご自身は、どのような基準や姿勢で審査に臨まれていますか?

 

佃)ただただその日に面白いと感じた作品。作者のやりたい事がやりたい様にやり尽くされた作品は面白いと思います。

 

―観客も投票という形で参加するのが劇王の大きな特徴です。観客の皆さんに、劇王を楽しんでいただくポイントやメッセージなどがあれば、ぜひ教えてください。

 

佃)戯曲を楽しむも良し、俳優を楽しむも良し、とにかく自由にお楽しみ下さい。

佃 典彦(つくだ・のりひこ)【名古屋】

 

劇作家、演出家、俳優 劇団B級遊撃隊主宰

日本劇作家協会東海支部員。〆切を守ることから名古屋のミラーマン(=劇作家の「鑑」)の異名を持つ。

第3回名古屋市文化振興賞『審判』、第4回読売演劇大賞優秀作品賞『KAN-KAN男』、第50回岸田國士戯曲賞『ぬけがら』他多数受賞。


【審査員インタビュー】はせひろいちさん

―はせさんは、2013年の第1回中国ブロック劇王以来、ほとんどの大会で審査員を務めていただいています。この劇王というイベントの意義、そして今回8回目を迎える中国ブロック劇王について、どのように感じていますか。

 

はせ)ほぼ毎年よんでいただいているからこそ、自信を持って言えることは、明らかに戯曲のレベルが上がっている事です。中には演出で少し損してる集団も見受けられますが、戯曲の在り方、攻め方に説得力や必然性が増してきています。そして何より(少し偉そうですが…)観客が育ってきてるなぁ、と思います。まさに劇王ならではの相乗効果だと思います。

 

劇王は審査基準などを決めず、審査員と観客に判断を委ねる形ですが、はせさんご自身は、どのような基準や姿勢で審査に臨まれていますか?

 

はせ)これは演出の基本姿勢にも通じるのですが、例え事前に読んでいたりしても「今、初めて見させていただく」立場に自分を置き観劇します。コメントこそ専門家を装ってますが、いち観客と同じ視線を一番大事にしています。ゆえに基準らしきモノはないのですが、強いて言えば「今この芝居を見せられている必然性」とか「登場人物がそこに居る当事者性」のようなモノでしょうか?

 

―観客も投票という形で参加するのが劇王の大きな特徴ですが、演劇作品に順位や点数をつけることに賛否の声もあります。観客の皆さんに対して、どんなふうに臨んでもらいたいと思いますか?

 

はせ)きっと「生みの親」の佃さんも言ってるでしょうが…「作品に優越をつける」のが趣旨ではなく「今日の一等賞を決めるために参加する」で良いのでは?…と思います。観客の純粋な評価が、作り手の「客観性」を大きく育てているのは間違いなく、彼/彼女らを「本気」にさせる大切な現象だと思うので。

 

―作家同士が切磋琢磨し、飛躍のためのステップやこれからの劇作に向けた励みにしてもらうことが中国ブロック劇王の目的でもあります。今回参加する作家の皆さんへのメッセージがあれば、ぜひお願いします。

 

はせ)勝って嬉しく、負けて悔しい、そりゃそうだ。だって劇王ですからね。傷つくリスクを覚悟して、ちゃんとバトルしてこそ、劇王はアナタを進化させると思います。この時代、なかなかないよ、こんな青春みたいなお祭りは。

 

 

 はせ ひろいち【岐阜】

 

劇作家、演出家 劇団ジャブジャブサーキット代表

新聞社勤務の経験を持ち、書き下ろし戯曲は110本を越す。現在、日本演出家協会理事、日本劇作家協会員。長久手市と岐阜市にて戯曲セミナー塾長。岐阜大、静岡文化芸術大、名古屋音大などで講師。

 

松原若尾記念演劇賞、劇作家協会新人戯曲賞、名古屋市文化奨励賞、他多数受賞。


【審査員インタビュー】角ひろみさん

―角さんは、第2回、第4回、第6回、第7回の中国ブロック劇王の審査員を務めていただき、今回が4回目の審査員となります。この劇王というイベントの意義、そして今回8回目を迎える中国ブロック劇王について、どのように感じていますか。

 

角)年々レベルの高まりと参加県の広がりを感じています。中国地方の劇作家・作品・人々と一度にたくさん出会えて心を動かし合える、作り手にとってもお客様にとっても未来の作り手にとっても素敵な場だと思います。出会い!なにより貴重!

 

―劇王は審査基準などを決めず、審査員と観客に判断を委ねる形ですが、角さんご自身は、どのような基準や姿勢で審査に臨まれていますか?

 

角)たくさん感受して観て、心の動いたとおり審査したいと思っています。創造性につながる言葉にして講評したいと思っています。

 

―観客も投票という形で参加するのが劇王の大きな特徴です。観客の皆さんに対して、伝えたいことなどがあればお願いします!

 

角)たくさん楽しんでくださー──い!そして、心の動いたとおり審査してくださーーーい!

 

―3年ぶりとなる今回の大会は、過去最多の12名が参加、しかも半数が初出場の作家です。テーマは「刻め!15分が秘める無限大の可能性を。」。作家の皆さんにもぜひエールをお願いします。

 

角)無限大の可能性をわたしも信じてます。みんな自分の思う無限大の作品ができますように。

 

《写真:おおたこうじ》

 角 ひろみ【岡山】

 

劇作家、演出家

兵庫県出身。1995年より関西を中心に活動。2006年より岡山市在住。宝塚北高校演劇科 戯曲講師。

 

第4回劇作家協会新人戯曲賞佳作・北海道知事賞、第4回近松門左衛門賞、第20回劇作家協会新人戯曲賞受賞、第59回岸田國士戯曲賞 最終候補、第16回岡山芸術文化賞 準グランプリ。